こんにちは、逆張り投資家しめじです。
今回は、宝飾ブランド「4℃(ヨンドシー)」で有名な**ヨンドシーホールディングス(8008)**の2026年2月期第2四半期決算を見ていきましょう。
数字を見て、思わず二度見しました。
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売上高66.9%増! 営業利益も大幅増益
ヨンドシーHDの中間期(2025年3月〜8月)の業績は以下の通り。
項目 金額 前年同期比
売上高 324億74百万円 +66.9%
営業利益 11億24百万円 +34.6%
経常利益 13億10百万円 +24.9%
親会社株主に帰属する純利益 7億81百万円 +16.3%
つまり、1年で売上が約1.7倍に跳ね上がったということです。
しかも利益もきっちり伸ばしています。ジュエリー業界でこれほどの伸びは異例です。
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なぜ売上がこんなに伸びたのか?
ポイントはこの2つです。
① 高級時計リユース事業の拡大
実は今回の大幅増収の立役者は、ヨンドシーの宝飾ブランドではなく、
子会社の**「株式会社羅針(らしん)」が手がける高級ブランド時計のリユース販売事業**です。
新宿店の出店効果に加え、既存店の売上も順調に伸び、盤石な財務基盤を活かして在庫を厚く確保。
その結果、ブランド事業の売上は前年同期比176.9%増の198億円、
営業利益は133.5%増の8.9億円と驚異的な成長を遂げました。
富裕層の高額品需要が引き続き堅調な中、
「中古でも品質の高い高級時計」へのニーズが増しており、まさに時流を掴んだ形です。
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② 既存ブランド「4℃」の再構築
本業である「4℃」ジュエリー事業では、マーチャンダイジング(MD)改革と価格政策の見直しを進めています。
シンプルすぎたデザインからの脱却や、素材の高付加価値化、
さらには“ご褒美ジュエリー”志向の強い若年層への訴求など、構造改革の真っ最中。
派手さはないものの、長期的にはブランドの復権につながる動きです。
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アパレル事業も堅調に推移
もうひとつの柱であるアパレル事業も着実に伸びています。
デイリーファッション「パレット」を展開するアージュ社が新店・増床で売上堅調。
アスティグループは海外生産を活かし、主力取引先からの受注が拡大。
結果、アパレル事業の売上高は126億円(+2.7%)、営業利益7.9億円(+12.3%)と堅調でした。
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キャッシュフローと財務も安定
有形固定資産の売却(固定資産売却益5億円超)などにより、投資活動のキャッシュフローはプラス。
純資産比率も57.7%と高く、自己資本比率がしっかりしている点も評価できます。
まさに「宝石のように堅い財務」。
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豆知識💎:「4℃」の由来って?
ブランド名「4℃」は、水がもっとも密度の高い温度=**4℃**から。
つまり、「変わらない本質」「揺るがない強さ」を象徴しています。
このコンセプトは、トレンドが移ろいやすいファッション業界の中で
“普遍的な美しさを大切にする姿勢”を意味しているんですね。
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投資家目線で見た今回の決算
ヨンドシーHDは長年「成熟ブランド」として成長鈍化が指摘されてきました。
しかし、今回の決算を見る限り、リユース事業を軸に再び成長軌道に乗りつつある印象です。
ただし注意点もあります。
売上増の多くはリユース事業による“買い取り販売”であり、利益率はそれほど高くない。
特別利益(不動産・有価証券売却益)も一部含まれており、実力ベースではまだ安定途上。
とはいえ、「ブランド再生」と「高級リユース」の両輪で
中長期的に企業価値を上げていく可能性は十分あります。
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まとめ
売上高:324億円(+66.9%)
営業利益:11億円(+34.6%)
成長要因:高級時計リユース事業が急拡大、「4℃」ブランド再構築中
財務も堅実で配当維持(中間41.5円、年間83円予想)
正直若者向けでイケてないなんて言う人も見かけるブランドですが、
「時計がヨンドシーを救う」──そんな展開を誰が予想したでしょうか。
宝石よりも“時を刻むビジネス”で輝きを増す、そんな逆転劇を見せた今回の決算でした。
しめじ
PS:以前は毎日出勤時にコーヒーを自販機で買っていたのですがインフレでかなり値上がりしてきました。
まとめ買いして節約も意外と悪くないな~と思うこの頃です。