〜逆張り投資家しめじが考える「リース株の行方」〜
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🍙 はじめに:なぜリース銘柄は人気なのか?
株式市場の中で、リース会社は一見地味な存在です。
でも、投資家の間では密かに人気があります。
なぜかというと──
高配当(3〜4%台が多い)
PBR1倍割れ(つまり資産に対して割安)
景気に左右されにくいストック型ビジネス
この3拍子がそろっているからです。
代表的なリース銘柄といえば:
オリックス(8591)
東京センチュリー(8439)
芙蓉総合リース(8424)
三菱HCキャピタル(8593)
住友三井オートサービス(非上場ですが業界上位)
これらは「安定配当・堅実経営」の象徴として、
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💰リース業とは何をしているのか?ざっくり解説
リース会社の基本モデルはシンプルです。
> 銀行から資金を借りて、企業が使う機械や車を買い、
それを“貸す”ことでリース料をもらう。
たとえば、建設会社がショベルカーを買う代わりにリースすれば、
リース会社は「安定した月額収入」を得られます。
つまりリース業は、
資金を調達して(=借金)
物を貸して(=投資)
利息を乗せて返してもらう(=利益)
という金融+モノ貸し業のハイブリッドモデルなんです。
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📈 物価上昇(インフレ)がリース業にもたらす影響
ここ数年、日本もじわじわとインフレが進行中。
原材料費、人件費、金利…どれも右肩上がり。
ではリース会社にとってインフレはプラスなのか、マイナスなのか?
実は、短期的にはマイナス、長期的にはプラス要因にもなりえます。
🔻短期的にはマイナス
リース契約は長期(3〜7年)が多く、固定リース料が主。
途中で物価が上がっても、リース料を後から値上げできない。
つまり「貸した時点で価格固定」=コスト上昇を吸収できない。
🔺長期的にはプラス
新規リース契約では物価上昇を織り込んだ価格設定が可能。
物価が上がれば、リースする資産の価値(残価)も上昇。
インフレ環境では、モノを持つ会社(資産家)に強みが出る。
> つまりリース会社は「物価上昇初期に苦しみ、慣れた頃に報われる」業種です。
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🏦 金利上昇局面ではどうなる?
リース会社は銀行から巨額の資金を借り入れてビジネスをしています。
では、どのような影響が出るのでしょうか?
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🧮 ① 調達コストが上がる → 利ざやが圧迫される
リース業は「貸出利息(リース料)」から「調達利息(借入金利)」を引いた“利ざや”が利益。
金利が上がると借入コストも上昇するため、
利ざや(スプレッド)が縮小します。
たとえば、借入金利が0.5%→1.0%になっただけでも、
数千億円規模の負債を抱えるリース会社にとっては利益への影響が大きいです。
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🧠 ② ただし、金利上昇を織り込める新規契約では回復可能
リース契約は長期ですが、常に更新が発生します。
新しい契約では、金利上昇分をリース料に転嫁できます。
つまり、すぐには苦しくても、時間差で回復してくる。
短期的:利益率低下
長期的:価格転嫁で収益安定化
この「タイムラグ」がポイントです。
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🏗️ ③ 金利上昇=資産再評価のチャンス
金利が上がると、一般的に「資産の割引価値」が下がる(PBRが下がる)傾向がありますが、
リース業のように実物資産(機械・車・航空機など)を大量に保有している会社では、
帳簿上の資産が過小評価されているケースも多い。
したがって、金利上昇によって他業種が売られるときこそ、
「実物資産を持つリース銘柄」が相対的に強く見える場面があるのです。
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💸 高配当・低PBRの魅力は続くのか?
ここが投資家として一番気になる点。
結論から言うと──
「配当は維持されるが、株価は短期的に伸びにくい」
というのが現実的な見通しです。
✔️ 配当の安定性
オリックス、東京センチュリー、芙蓉リースなどは連続増配・減配なしの実績。
利益率は薄くても、ストックビジネスなのでキャッシュフローは安定。
→ 多少の金利上昇ではびくともしません。
⚠️ 株価の重たさ
PBR1倍割れとはいえ、金利上昇=バリュー株有利の局面では、銀行株などに資金が流れやすい。
リース株は金融と実業の中間にあり、「どっちつかず」で資金が抜けやすい時期がある。
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📊 しめじ的・代表リース銘柄のざっくり比較(2025年時点)
銘柄 配当利回り 特徴
オリックス(8591) 金融+保険+不動産と多角化、安定度高い
東京センチュリー(8439) IT機器・航空機など資産構成多様
芙蓉総合リース(8424) 老舗、堅実経営で信用厚い
三菱HCキャピタル(8593) 規模最大、配当利回りトップクラス
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🦉 金利上昇に備える“しめじ流リース株戦略”
1️⃣ 「一括投資」より「段階買い」
金利上昇期は株価が一時的に下がりやすいため、
配当利回り3.5〜4.5%を目安に分散買いがおすすめ。
2️⃣ 「金利敏感度」を見極める
短期借入比率が高い会社は金利上昇に弱い。
→ 芙蓉リースやオリックスは長期調達が多く比較的強い。
3️⃣ 「物価上昇に強い資産」も確認
航空機リース、IT機器リースなど、物価上昇で資産価値が維持されやすい分野を多く持つ企業が有利。
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🧭 まとめ:リース銘柄は“金利に泣き、時間に救われる”業種
局面 リース銘柄の動き 投資家の取るべき行動
物価上昇初期 調達コスト上昇、株価軟調 配当狙いで買い下がり
金利安定〜上昇期 価格転嫁が進み業績回復 保有継続でインカム重視
インフレ定着後 実物資産価値上昇 長期保有で含み益期待
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🪙 しめじのひとこと
> リース株はまるで「定期預金をしながら株主優待ももらえる」ような存在。
派手さはないけれど、インフレの荒波の中でもしっかり配当を運んでくれる働き者です。
物価が上がり、金利がじわりと上がっていく時代。
そんな中でも、落ち着いて配当を受け取れるポジションを持つのは、
逆張り投資家にとっては最強の防御なのかもしれません。
🔔 免責事項
本記事は筆者しめじによる個人的な見解・市場解説であり、特定の金融商品の売買を推奨・助言するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。